1096記事目

六本木「天鳳」の「一三五」とは何か|ドラム缶ラーメン40年の秘密と完全注文ガイド

公開日:2026年03月30日

六本木で愛されるドラム缶ラーメン

こんにちは、ケンチェラーラです。

六本木ミッドタウンの向かいに、40年以上にわたって通い続けられているラーメン店があります。

その名は「天鳳(てんほう)」。

常連たちが「一三五(いちさんご)」という暗号のような言葉で注文を告げ、北海道から取り寄せる特注麺をすすり、ラードが張った濃厚なドラム缶スープを飲み干していく——。

初めて訪れる方には少々敷居が高く感じられるかもしれませんが、ひとたびその世界に踏み込めば、他のどのラーメン店でも味わえない体験が待っています。

この記事では、注文方法の基礎から、40年の歴史と製法の秘密、2023年に「株式会社リヴァリュ」へ事業継承が行われて以降の変化を含め、新生・天鳳の今を余すことなく解説します。

はじめての方も、久しぶりに再訪を考えている方も、ぜひ最後まで読んでみてください。

それでは、ペロペロしていきましょう!

お店情報
営業 月〜木:11:00〜16:30 / 17:30〜22:00
金  :11:00〜16:30 / 17:30〜24:00
土・祝:11:30〜21:00
日  :11:30〜15:00(夜営業なし)
電話 非公開
予算 〜¥999(ランチ・ディナーともに)
場所 東京都港区六本木7-8-5 ロック&ロックビル1F
備考 カード可(VISA・Master・JCB・AMEX)・PayPay可・電子マネー不可・
予約不可・全席禁煙・駐車場なし(近隣にコインパーキングあり)
リンク 食べログ




六本木「天鳳」が40年間守り続けてきた、ドラム缶スープと唯一無二の文化

お店の看板

六本木のラーメン店「天鳳」には、他の店にはない独自のルールと哲学があります。

なかでも「ドラム缶スープ」と「一三五」というふたつの文化は、この店を語るうえで欠かせないキーワードです。

ここでは、はじめて訪れる方が知っておくべき注文方法から、スープの製法にまつわる深い話、そして2023年の経営交代がもたらした変化まで、順を追って紐解いていきます。

「一三五」のオーダーを知っているだけで、初訪問でも常連と同じ目線でこの店に向き合えます。
六本木という激動の街で40年以上愛され続けてきた事実が、何よりの証明です。

「一三五(いちさんご)」の意味と注文方法——はじめての方でも迷わない完全ガイド

初心者でも選びやすい食券機

「一三五」とは、麺の硬さ・油の量・味の濃さを数字で指定する、天鳳ならではのカスタマイズシステムです。

「一(いち)」で麺を硬め、「三(さん)」で油を多め、「五(ご)」で味をしょっぱめに仕上げる——この三つを同時に選ぶことで、スープと麺が持つポテンシャルを最大限に引き出した一杯になります。

さらにその上を行くのが「めんばり」という注文で、茹で時間を極限まで短縮し、カエシの量も最大に引き上げた、常連だけが知る究極の選択です。

「めんばりは一三五を余裕で食べ切れるようになってから」と語られるほど、その味わいは強烈です。

はじめての方はまず「醤油ラーメンの一三五」から試してみてください。

ランチタイムに無料でつく半ライスを手元に置き、麺を啜ってスープを飲み、ライスを口に運ぶ——この三つのリズムが、天鳳の醍醐味を余すことなく体感させてくれます。

「ドラム缶スープ」が他のラーメンと決定的に違う理由——旭川直伝の製法と哲学

順番待ちの列ができるお店の様子

「ドラム缶スープ」という名は、創業当時に大きな寸胴鍋が手に入らず、ドラム缶そのものを使ってスープを仕込んでいたことに由来しています。

※現在は保健所の指導や設備更新により、実際の調理には専用の寸胴鍋が使用されていますが、象徴としてのドラム缶は今も店内に鎮座しています

旭川ラーメンの流れを汲むこのスープの最大の特徴は、「一度仕込んだら作り足しをしない」という哲学にあります。

毎朝、大量の豚骨を崩しながら丁寧に灰汁を取り、スープがなくなった時点でその日の営業は終了です。

継ぎ足しを行わないことで雑味や獣臭さが入り込む余地をなくし、濃厚でありながらすっきりとした後味——いわゆる「こっさり」した口当たりが生まれます。

スープの表面を覆う分厚いラードの層は北海道の寒冷地で生まれた保温の知恵であり、同時に醤油ダレの香りをスープに閉じ込める役割も担っています。

箸を入れた瞬間に香りが一気に解放されるあの体験は、ここでしか味わえません。

なお、使用する麺は2023年の経営交代を機に、長年連れ添った西山製麺から、同じく札幌の銘店を支える「小林製麺」へと切り替わりました。

スープをひと口飲んだ瞬間に「また来たくなる理由」が全身で理解できます。
塩気と旨味の絶妙なバランスが、気づいたら完飲させてしまうのがこのスープの恐ろしいところです。

2023年の経営交代後、天鳳の味はどう変わったのか

特製醤油ラーメン

2023年、天鳳に大きな転換点が訪れました。

約40年にわたって厨房に立ち続け、「白髪の親父」の愛称で親しまれた二代目店主が引退し、新オーナー(株式会社リヴァリュ)へと経営が譲渡されたのです。

新体制のもとではPayPayやクレジットカードへの対応、接客の改善、「特製一三五みそ」など新メニューの追加といった変化が加えられ、以前より格段に入りやすい雰囲気になっています。

一方で、SNSや口コミサイトでは「塩気のパンチが優しくなった」「ニンニクの輪郭がはっきりした」といった古参ファンの声も散見されます。

気温や湿度に合わせてスープをその日ごとに微調整していた職人の感覚は、マニュアル化された組織運営のなかで完全には再現しきれない部分もあり、昭和の遺産を組織として継承することの難しさが改めて浮き彫りになっています。

伝統の味をどう守り続けるか——新体制が向き合う課題は、今もなお途上にあります。




全メニューと価格——醤油・塩・味噌の特徴と選び方

ラーメン全メニュー

メニューは醤油・塩・味噌の三種類を基本とした、シンプルな構成です。

なかでも看板は「醤油ラーメン」で、豚骨ベースのスープは見た目こそこってりとしていますが、丁寧な灰汁取りによってすっきりとした後味に仕上がっており、「一三五」との相性は抜群です。

近年リピーターが増えているのが「味噌ラーメン」で、野菜炒めのラードと唐辛子が効いたジャンキーな旨味が病みつきになると評判です。

新体制になってから登場した「特製一三五みそ」は、この店のアイデンティティと味噌スープが融合した新定番として注目を集めています。

トッピングはチャーシュー追加が定番で、スープにしばらく沈めておくことでラードを吸い込み、よりジューシーな食感を楽しめます。

価格は醤油・塩・味噌が900円前後、チャーシュー麺が1,150円前後(いずれも税込)で、ランチタイムには半ライス無料サービスも付きます。

※原材料費の高騰により、改定されている可能性があるため、最新の価格は店頭の券売機でご確認ください。

 店内の様子——昭和の空気が残る空間と撮影ルール

賑わう店内の様子

店内はビル1階の奥まった場所に位置し、厨房前のカウンター席とテーブル席数卓が並ぶ、こぢんまりとした空間です。

余計な装飾を一切排したつくりは昭和のラーメン店そのもので、壁には「めんばり」「一三五」「普通」と書かれた古びた看板が今も掲げられています。

かつては外苑東通り沿いにシンボルのドラム缶が置かれていましたが、現在は店内奥に移設されています。

訪れた際にはぜひ、その存在を自分の目で確かめてみてください。

撮影については「手元のラーメンのみ」が原則です。

厨房内や他のお客様、券売機を含む店内風景の撮影・投稿はトラブル防止のため禁止されていますので、マナーを守って楽しみましょう。

混雑時には店外まで行列ができることもありますが、並んでいるあいだに注文を取りに来てもらえるため、事前にメニューと注文スタイルを把握しておくとスムーズに入店できます。

アクセス方法と周辺の駐車場情報

お店のある路地と看板

住所は東京都港区六本木7-8-5、ロック&ロックビル1Fです。

最寄り駅は都営大江戸線「六本木駅」8番出口で、徒歩約2分とアクセスは非常に便利です。

東京ミッドタウンを正面に見ながら外苑東通り沿いを進むと、目的のビルが見えてきます。

ビルの入口から奥へ進んだ場所に店舗があるため、初めての方は通り過ぎてしまうことがありますが、入口付近のドラム缶を目印にしてください。

店舗専用の駐車場はありませんが、東京ミッドタウンの地下駐車場や周辺のコインパーキングを利用できます。

週末・祝日を中心に駐車場が混み合いますので、電車でのアクセスがおすすめです。

営業時間は月〜木曜が11:00〜16:30・17:30〜22:00、金曜の夜は深夜0時まで、土・祝は21:00まで、日曜は15:00までの昼営業のみです。

定休日はありませんが、12月31日〜1月4日の年末年始は休業となります。

【実際に食べてみた】天鳳・醤油一三五——その味と体験のすべて

東京出張のタイミングで六本木近くに宿を取ったこともあり、ずっと気になっていた「天鳳」へ初めてお邪魔することができました。

カウンターに腰を落ち着けるなり、店主から迷わず勧められたのが「特製醤油ラーメン」。その一言に甘え、券売機のボタンを押しました。

着丼の瞬間、厚いラードの層を纏った漆黒の丼から、醤油の豊かな香気がふわりと解き放たれました。

湯気が静かに立ちのぼり、思わず顔を近づけてしまうほどの誘惑です。

チャーシュー3枚、キクラゲ、味付け卵、ネギ、海苔3枚、青梗菜——シンプルながら、それぞれが丁寧に仕事をしているトッピング構成は、地元三重ではなかなかお目にかかれない都会の本格派の風格を漂わせていました。

まずはレンゲでスープをひと口。

豚骨の深い旨みが舌の上にどっしりと腰を下ろすと同時に、毎朝丁寧に引いた灰汁取りによって磨き上げられた清澄さがそれを静かに整え、喉の奥へと続く余韻はどこまでも潔いものでした。

「こってり」と「すっきり」という相反するふたつの属性が矛盾なく共存する、いわゆる「こっさり」という表現がこれほど腑に落ちた経験は、なかなかありません。

醤油ダレの輪郭は確かに力強く、塩分の存在感は隠しようもないのですが、それが旨みの奥行きによって丸められ、気づけば完飲寸前になっている自分に驚かされます。ラードが守り続けてきた香りの蓋が開いた瞬間の体験は、一度味わったら容易には忘れられないものがあります。

次は麺。一口手繰った瞬間、これまで経験してきた醤油ラーメンの麺とは明らかに異なる口当たりに気がつきました。

プリとした弾力と、スープを纏ったときの滑らかな一体感——経営交代に伴う麺の変更について賛否が分かれていることは承知のうえですが、少なくとも私の舌にとっては、これ以上ないほどにしっくりと馴染む味わいでした。

スープとの絡み方の自然さは特筆に値します。

騒々しい六本木の喧騒が窓の外に広がるなか、飾り気のないカウンターで無心に一杯のラーメンと向き合う——このような時間が、現代の東京にまだ息づいていることへの深い感動を覚えました。

また都心へ出る機会があれば、必ずここへ立ち寄ろうと思います。

  • 満足度:☆☆☆☆
  • 味:☆☆☆☆
  • 一言:美味いラーメン!

天鳳様、最高の食事をありがとうございました。
本日も最高のペロペロでした!