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四日市の料亭「伝七邸」で会席料理──三重の旬食材と萬古焼が生む一皿

公開日:2026年03月30日

歴史ある四日市市の会席料理店

こんにちは、ケンチェラーラです。

四日市市内に、渋沢栄一も何度も足を運んだという明治時代の迎賓館が、今も現役の料亭として営業していることをご存じでしょうか。

「伝七邸」と呼ばれるこの場所は、国の登録有形文化財に指定された木造建築の中で本格会席料理を味わえる、三重県でも唯一無二の空間です。

ランチは2,000円台から、ディナーは完全個室での会席コースまで幅広く用意されており、記念日・接待・両家の顔合わせ・日常のカフェ利用と、あらゆるシーンに対応しています。

少し敷居が高そうに見えるかもしれませんが、コーヒー一杯550円から気軽に立ち寄れる場所でもあります。

本記事では、伝七邸の歴史的な背景から料理長のこだわり、メニューの内容と料金、店内の様子、実際に訪れた感想まで、余すところなくお伝えします。

四日市で特別な食事の場を探している方に、ぜひ最後まで読んでいただきたい内容です。

それでは、ペロペロしていきましょう!

お店情報
営業 【ランチ】11:30 – 14:00(L.O. 13:30)
【ディナー】17:00 – 21:00(要予約・月〜土のみ)
【カフェ】11:30 – 16:00(不定休)
※料亭の満席時や貸切営業時はカフェ営業がお休みになる場合があるため、
事前の電話確認が確実です
定休日 月曜日(祝日の場合は翌平日)
電話 059-351-2491
予算 昼:¥2,420~¥6,600
夜:¥13,200~¥22,000
※税込・サービス料別
場所 三重県四日市市高砂町6-12
備考 現金可・カード可(VISA / Master / JCB / AMEX / Diners)・
電子マネー可・QRコード決済可
リンク 公式HP




渋沢栄一も通った、四日市が誇る登録有形文化財の料亭「伝七邸」

貫禄のあるお店の入り口の様子

三重紡績の創始者として「紡績王」と称され、のちに東洋紡績の第2代社長も務めた伊藤伝七が明治29年に移設した別邸は、渋沢栄一をはじめとする財界人が集まる迎賓館として四日市の近代化を支えてきました。

かつて『昌栄館』と呼ばれたこの邸宅は、現在は国の登録有形文化財に指定された建物の中で、三重の旬の食材を使った会席料理が楽しめる料亭として営業しています。

その歴史的な背景から料理長のこだわり、そして多彩な利用シーンまで、伝七邸ならではの魅力をあわせてご紹介します。

玄関をくぐった瞬間から、ここにしかない時間が始まります。
格式と温かみが共存するこの空間は、一度訪れると必ずまた来たくなる料亭です。

紡績王・伊藤伝七が築いた「昌栄館」から現代の料亭へ

登録有形文化財の説明が書かれた看板

明治29年(1896年)、三重紡績の創始者として「紡績王」と称され、のちに東洋紡績の第2代社長も務めた第十世伊藤伝七が、四日市市高砂町にこの別邸を移設しました。

この邸宅には渋沢栄一をはじめとする政財界の要人や文化人が宿泊・会合に訪れ、近代日本の方向性を決めるような議論が交わされた場所でもありました。

昭和20年の四日市大空襲をくぐり抜け、昭和34年の伊勢湾台風をも乗り越えてきたこの建物は、平成22年に玄関棟とさつき棟の2棟が国の登録有形文化財に登録されています。

「料亭 浜松茂」として百年以上にわたり四日市の食文化を担ってきたこの場所が、平成29年に後継者不足で一時幕を閉じました。

存続の危機に立ち上がったのが、四日市の近代化を支えてきた名家・九鬼家の11代目九鬼紋七氏です。

「これからの100年も、人と文化が交流する場所であり続けたい」という志のもと建物を修復・再開業させた現在の伝七邸は、単なる文化財の保存を超えた「生きた料亭」として、四日市の食と文化を今も支え続けています。

料理長・山田桂志が追い求める三重の旬と萬古焼の器

店内に飾られた装飾物

伝七邸の料理を担う料理長・山田桂志氏は、季節ごとの仕入れ状況を見極めながら献立を組み直し、「そのときいちばん美味しいもの」を一皿に込めることを信条としています。

地産地消を軸に三重ブランドの食材を積極的に活用した料理は、四日市でしか出会えない味わいを生み出しています。

特に黒毛和牛は、すき焼き・炙り焼き・ビーフシチューと調理法を変えながら素材本来の旨味を引き出しており、どの形でいただいても上品な仕上がりです。

また、九鬼産業のごま油を麺に練り込んだ「三重黄金うどん」は渡辺手延製麺所との地元コラボレーションが生んだ一椀で、喉越しのよさと香り高さが多くの来客に愛されています。

料理を受け止める器にも妥協はありません。

食卓に並ぶのは四日市が誇る伝統工芸・萬古焼の作品で、清水醉月氏・熊本栄司氏といった地元の名工が手がけたものです。

器の色合いや質感が料理の彩りを引き立て、視覚と味覚の両面から食体験を豊かにしてくれます。

旬の一皿を受け止める器まで含めて「料理」として完成させる姿勢が、伝七邸を三重の食文化を体現する場として際立たせています。

食材の産地から器の作家まで妥協しない姿勢が、一皿一皿に確かな説得力を生んでいます。
食べ進めるほどに、三重の豊かさをじんわりと実感できる食卓です。

記念日・接待・顔合わせからカフェ利用まで──伝七邸の個室が選ばれ続ける理由

中庭の様子

伝七邸の完全個室が真っ先に選ばれるのは、誕生日・還暦祝い・結婚記念日・お食い初め・一升餅など、人生の節目となる慶事の席です。

希望のメッセージを入れたデザートプレートや、お顔合わせの席に贈られるお米2合のプレゼントといった細やかな気配りが、特別な日の記憶をいっそう鮮明に残してくれます。

法事・法要後の精進落としにも対応しており、慶弔問わず寄り添える場所として地域に根づいています。

企業接待や取引先との会食においても、登録有形文化財という格式ある空間が、大切な席にさりげない品格を与えてくれます。

両家のお顔合わせや結納の席としても評判が高く、落ち着いた和の空気が初めて顔を合わせる双方を自然とほぐしてくれると好評です。

一方で、予約不要のカフェタイム(11:30〜16:00)では「おまっちゃ珈琲」(550円)を日本庭園を眺めながら楽しめるなど、ハレの日だけでなく日常のひとときを過ごす場所としても親しまれています。





ランチ・ディナーメニューと料金を徹底解説

ランチタイム(11:30〜14:00、L.O. 13:30)は予約不要で楽しめるメニューも用意されており、気軽な来訪から個室での本格会席まで幅広い需要に応えています。

ランチで人気の「高砂御膳」(6,600円)は、料理長おまかせの二段重に季節の食材が少しずつ詰め込まれた、接待やお祝いの席にも申し分ない内容です。

「相生御膳」(4,400円)は一段の彩り豊かな御膳で、友人との会食に選ばれることが多いメニューです。

三重ブランドの味を気軽に体験したい方には「三重黄金うどん&黒毛和牛」(2,420円)や「黒毛和牛ビーフシチュー御膳」(2,750円)がよく選ばれています。

いずれもデザート付きで提供されます。

ディナー(17:00〜21:00、完全個室・要予約)は三段階のコース構成です。「和-NAGOMI-」(13,200円)は季節の味覚を凝縮した基本コース、「輪-RIN-」(16,500円)は料理長厳選の食材を使った上位コース、「環-MEGURI-」(22,000円)は最上級素材と技が融合する特別な夜のためのコースです。

記念日や大切な接待の席に、ぜひご検討ください。

カフェタイム(11:30〜16:00、不定休)は予約不要で、名物の「おまっちゃ珈琲」(550円)とパティシエ特製デザート(300円〜)が楽しめます。

まずは伝七邸の雰囲気を気軽に体験してみたい方に、カフェ利用からのスタートをおすすめします。

京都の名師が手がけた枯山水と明治の木造建築──店内と各部屋の雰囲気

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入母屋造りの玄関棟は明治29年の建築当時の意匠をそのまま残しており、内部には格天井が施された「中広間」が広がります。

廊下沿いには萬古焼の作品が展示されており、食事の前後に目を向けるだけでも四日市の伝統文化を身近に感じさせてくれます。

昭和26年頃に増築されたさつき棟は切妻造りの外観を持ちながら、明治の玄関棟と自然に溶け合っています。

個室「さつきの間」は2〜4名の少人数での食事や接待に好まれ、障子から差し込む柔らかな光と畳の静けさが心を落ち着かせてくれます。

大広間(最大56名)から少人数向けの個室まで、シーンや人数に合わせた多様な部屋構成が用意されています。

邸内のどの部屋からも望める日本庭園は、京都の著名な庭師・梅鉢園が手がけた枯山水です。

3トンもの花崗岩が中央に据えられ、苔の築山は鈴鹿山脈を、白砂に配された石が亀の形を模した「鶴亀の庭」には、長寿と繁栄への祈りが込められています。

春の芽吹きから冬の静寂まで四季折々に表情を変えるこの庭を眺めながらいただく料理は、四日市にいながら小旅行をするような非日常の体験です。




アクセスと駐車場情報──JR四日市駅からの行き方・営業時間・予約方法まとめ

歴史を感じるお店の外観

住所は三重県四日市市高砂町6番12号。JR四日市駅から徒歩約12〜15分の距離にあり、近鉄四日市駅からもアクセス可能です。

初めて訪れる場合は、相生橋を目印に進むとわかりやすいでしょう。

お車の場合は、敷地内に約12台分の駐車場が利用できます。台数に限りがあるため、土日・祝日は早めの来店が安心です。

営業時間はランチが11:30〜14:00(L.O. 13:30)、ディナーが17:00〜21:00。

定休日は月曜日で、祝日の場合は翌平日がお休みになります。

カフェタイムは11:30〜16:00で不定休のため、事前の確認をおすすめします。

ご予約は電話(059-351-2491)またはトレタのウェブ予約から受け付けています。

ディナーは完全個室・要予約制で、週末のランチも満席になりやすいため、日程が決まり次第早めのご連絡をおすすめします。

なお、人数変更やキャンセルは3日前までの連絡を推奨します。(詳細は予約時にご確認ください)

実際にいただいた伝七邸の会席料理

この日は「相生御膳」(4,400円)をお願いしました。

席に案内されてまず感じるのは、時が緩やかに流れているような、静かで澄んだたたずまいです。国の登録有形文化財に指定された木造建築が醸し出す静謐さの中でいただく食事は、日常の喧騒から切り離された、ここにしかない特別な時間となりました。

おかみさんの対応にも、胸が温かくなりました。子連れでの来訪にもかかわらず、落ち着いた笑顔と丁寧な言葉かけをいただき、気兼ねなくゆったりと過ごすことができました。格式と温かみが高い次元で両立する料亭というのは、実はそれほど多いものではありません。

まず一口運んだお吸い物は、骨格のしっかりとした出汁に丁寧な吸い地が施されており、透き通った椀のひとすすりの中に、伝七邸の心意気が凝縮されていました。雑味のまったくない澄んだ味わいが、これから始まる食事への期待を静かに高めてくれます。

一段重の中には、秋の実りを感じさせる食材が丁寧に収められています。かぼちゃは適度な甘みを保ちながらほっくりと炊かれ、湯豆腐は絹のような柔らかさの中に大豆本来の甘みをそっと残す仕上がりです。

人参や大根の煮物は過不足のない端正な味付けで、素材そのものの滋味がじんわりと口の中に広がります。

主張しすぎず、しかし確かな存在感を示す一品一品に、料理人の誠実な仕事が滲み出ています。


お造りはこの日、蛸と鯛でした。薄く引かれた身は透明感を帯びた白さで、箸を当てるとほどよく繊維が解け、鯛特有の上品な旨みが口の中でゆっくりと広がります。

後味には清涼感を伴う余韻が残り、会席料理における「間」の大切さを改めて思い知らされる一皿でした。

丁寧な料理、確かな味、格調ある空間。

その三つが高い次元で揃っているのが、伝七邸の真髄だと感じました。渋沢栄一がたびたびこの地へ足を運んだという事実が、この食卓に座ってみると自然と腑に落ちます。

彼が求めていたのは単なる食事ではなく、思索と対話を深めるための「場」そのものだったのだと、箸を置きながらしみじみと感じた次第です。

次は大切な会食の場として、ぜひ再訪したいと思います。

  • 満足度:☆☆☆☆
  • 味:☆☆☆☆
  • 一言:素晴らしい空間と料理

伝七邸様、最高の食事をありがとうございました。
本日も最高のペロペロでした!